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「誘拐」 本田靖春
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今月10日にちくま書房から文庫化された「誘拐」を読みました。作品自体は古く、77年に文藝春秋読者賞や講談社出版文化賞などを受賞しています。

この作品は実際に起こった幼児誘拐、吉展ちゃん事件のノンフィクション作品です。「ノンフィクションの最高傑作」との呼び声も高く、犯人を初めとした登場人物のまるで映画でも見ているかのようなリアルな描写は今も全く色褪せていません。

吉展ちゃん事件は東京オリンピックを翌年に控えた1963年に起こりました。東京の下町・入谷に住む村越一家の長男吉展ちゃん(当時5歳)が何者かによって連れ去られ、身代金を要求されたという事件です。
この事件は、警察の失態による犯人取り逃がしと被害者の死亡によって世間の大きな注目を集めました。迷宮入りと思われながらも、担当刑事たちの執念により事件は決着を見ました。

犯人は時計修理工の小原保(当時30歳)で裁判で死刑が確定、執行されました。この事件は逆探知や声紋分析などの科学捜査、またテレビでの公開捜査が初めて導入された事件でもあります。そういう意味でいわゆる事件捜査の方式に革命が起きた事件であるともいえます。


と、事件の概略はこのような感じです。

まず読む前に知っておかなければいけない事は、当時は今に比べて貧富の差がとても激しく差別も日常的だったという事、そして地方では「血の因縁」が何よりも濃かったという事です。犯人の小原保も幼少時代は悲惨な生活を強いられ、また決して逃れられない「血の因縁」を背負って生きてきました。

これは松本清張の『砂の器』に通ずる所があります。自らの身体を流れる血を恨み、そして凶行に走る・・。これは現代人の私達には理解し難い所なのでしょう。

決して犯人に同情の余地は無いのだけれども、これは一人の人間の凶行でありながら、当時の日本という国が生み出した膿みでもあるという感じを受ける。高度成長と貧困が交錯した都会に出来たほんの少しのゆがみ。それは一人の人間を飲み込みそして大きく運命を変えてゆく・・。ノンフィクションだからこそ伝わる何かがある。読んで損は無いと思います。
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テーマ:ノンフィクション - ジャンル:小説・文学

【2005/10/24 22:47】 | 読み物 | コメント(0) | page top↑
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